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『灰から蘇るフェニックスGen』

「目利きの商売下手。」
Genがよく言う言葉です。

実際、「道具屋(骨董屋)は目が利いては商売にならぬ。」という諺があります。

目が利いた方が上手くいくのでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、実際はそうではありません。口八丁手八丁、いかに上手く誤魔化して価値なきものを高く売るかが日本の骨董業界の儲けの世界です。昔はヤクザみたいな人も多く、Genが知る範囲でも、腕がない人が2人もいたそうです。

Genが子供時代を過ごした米沢は、上杉藩の城下町だったこともあって骨董業界の最盛期でした。高校時代、高校の先生が「骨董屋は胡散臭い。」と言うのを聞いて、「絶対に骨董屋にはなりたくない。」と思ったそうです。

それもあって、アンティークジュエリーの仕事を始めた後も『骨董屋』的な名乗り方はしていません。

私の友人に骨董市を主催するような有力な骨董商が2人いますが、業界内には一山千円で買いたたき、平気で1万倍もの値段をつけて暴利を貪る人たちもいるそうです。「お勉強してください(=安くして)!」と言わないとダメだと教えられたことがありますが、100円で買い付けたものを100万円付けて売るようなやり方ならば、「半額でいいよ、50万円!」という売り方は納得ですね。買う側も目利きできておらず、ただ割引率にだけ喜ぶような人ならば大喜びで50万円を出すわけです。さすがに"腕がない人"はひと昔前のことだそうですが、商売のやり方としては今でもそれが通例のようです。

武士と違い、日本の商人の「自分さえ儲かれば良い。」という金の亡者的なえげつないやり方は昔から常識でした。

ヨーロッパはこのようなことはありません。特にイギリス人は堅実ですし、よく分からない有象無象の古道具類と違い、上流階級のためのハイジュエリーは財産性を持つものとして昔から取引されていたので、一山千円的な取引はアンティークのハイジュエリーではまずあり得ません。

日本で一番最初にアンティークジュエリーの仕事を始めたGenが日本の骨董業界の内情を熟知しつつ、目利きができ、且つ誠実な人物だったのはこの業界の成り立ちとして幸いでした。ただ、商売下手&経営下手故に何度も店の名前が変わることになりました。

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