ピケはべっ甲又は象牙に金銀を象嵌した物を言いますが、ほとんど附の出ていない黒いべっ甲に金銀象嵌のジュエリーは、イギリスでヴィクトリア時代中期から後期に作られました。
フランスのピケはジュエリーは少なく小箱などに多く見かけます。
ピケはイタリアで主に教会の祭祀用具として作られていましたが、その技術がフランスに伝わり、16世紀のユグノー戦争でフランスから逃れたユグノー教徒により、イギリスにピケの技法が伝わり、べっ甲という素材自体の珍しさと、英国人好みの地味な雰囲気が好まれて流行したのです。
べっ甲細工は、昔から日本で優れた物が作られていいますが、不思議なことにピケの様な金銀象嵌の物は作られてはいないのです。以前に磨いてもらうために日本のべっ甲職人に依頼したことがあるのですが、その時に職人にイギリスでこれ程の鼈甲細工をしていたとはと驚いていました。
ヴィクトリア時代のピケは、日本の蒔絵のようなイメージがあるのは、実際に日本の蒔絵を見た職人が、蒔絵に触発されて作ったのではないかと僕は思っています!
だからどことなく和を感じるんですよ。
和服の帯留めにされる方が多いのも頷けますね♪
最近は状態の良いピケを探すのはとても難しくなっています。
《鼈甲細工を保管する時の注意点》
ヨーロッパの鼈甲細工はほとんど虫に食われていることはないのですが、高温多湿の日本では相当に注意する必要があります!
べっ甲は加工する時に卵の卵白を使うので、虫はべっ甲が大好物だからです!
日本はヨーロッパに比べてもの凄く虫が多いですしね。
虫食いを防ぐには、桐箪笥か桐の箱に入れて、樟脳の欠片を和紙で来るんで側に置いておくのです。(ナフタリンは化学物質なので使ってはいけません)