『海馬』とも呼ばれ、上半身は馬、下半身は魚とされる生き物です。
かなり後の時代では、前脚に水掻きが付いた姿で描かれている作品もありますが、古代世界の作品では蹄のままで描かれているものしか見たことはありません。
ヒッポカンポスは特徴的かつ、古代世界でも人気のモチーフだったため、大英博物館だけでも関連する所蔵品は145点以上存在します。
これは古代エトルリアのアルカイック期に作られた黒絵式のアンフォラで、ヒッポカンポスが描かれています。
前脚は蹄の形状です。
これは古代ギリシャのクラテールで、水とワインを混ぜるのに用いられた広口の甕です。当時、ワインを原酒で飲むことは野蛮と考えられていたこと、醸造技術が未発達でアルコール度数が低く甘かったことが、ワインの水割りの理由です。
このクラテールの中央に、白馬の上半身を持つヒッポカンポスに乗る海の女神テティスが描かれています。これも水掻きではなく蹄です。