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ト(コラード・メッツァーナ 1922年) "HerzJesu mit Droste zu Vischering und MMA" ©Corrado Mezzana, 1922(4 March 2008)/Adapted/CC BY-SA 3.0 このような歴史的背景が
あり、自身の心臓を見せるキリストや、キリストそのものやその御心を表すモチーフとしてハートの形が用いられるようになったのです。 ジョージアン頃までのウィッチズハート このような捻ったハート型のジュエリ
ーは、遅くとも15世紀には存在したようです。 初期の頃は、身に着けた者を邪悪なものから守るための護符のような役割として身につけられていたようです。 キリストの御心のご加護を受けるためという意味があったの
かもしれません。 当時のウィッチズハートのジュエリーは、結婚する女性に贈られることもありました。 妊婦を護ったり、母乳の出を良くしたり、赤ちゃんを邪悪なものから護るためのものとして贈られたようです。
スコットランドのラッケンブースのブローチ(18世紀-20世紀)"Luckenbooth brooches" ©Walker14806(4 March 2013)/Adapted/CC BY-SA 4.0 これらはスコットランドのラッケンブースと呼ばれるタイプ
のハートモチーフのブローチです。ヨーロッパ各地でハート型ブローチは中世後期から存在しますが、このデザインはスコットランドには17世紀以前には存在しなかったと言われています。 17世紀のスコットランドで特に
人気が出て、たくさんの数が作られています。裕福な人はゴールドで、貧しい人にはシルバーにペーストや半貴石、ガーネットなどで作られました。 ヘリテイジは安物は扱わないので、こういうレベルのジュエリーはご覧
になったことがない方も多いと思います。でも、昔も庶民向けに上のような粗末なジュエリーは数多く作られているのです。当時だったら世界の中の上澄みの人たちしか見ることもできなかったような宝物が、現在は「知ら
れざる良いもの」になっているがために、当時では考えられないような安い価格で買い付け、私もそうだったように平凡なサラリーマンでも手に入れることができる価格でご紹介することができているのです。そう考えると
、ある意味ありがたい時代ですね。 『取り替え子』(マルティノ・ディ・バートロメオ 15世紀初期) さて、赤ちゃんを邪悪なものから護ると言っても現代の感覚ではピンとこないかもしれません。 ヨーロッパの昔
話を読んだことがある方なら、『取り替え子(Changeling)』はご存じでしょうか。気づかない間に赤ちゃんが別の何かに取り替えられてしまうという話です。 邪悪な存在とは悪魔だったり妖精だったりし、赤ちゃんは醜
い妖精の赤ちゃんや老妖精、木っ端と取り替えられ、それらは手をつけられない存在だったり、徐々に弱って死んでしまったりします。 『取り替え子』(ヘンリー・フセリ 1781年) 19世紀に入ってからも、取り替え
られたと思われた子供が殺されてしまう恐ろしい事件が発生しているくらい、西洋では信じられ畏れられている現象です。 日本で統計が始まった1899年(明治32年)ですら、生後1年未満の乳児死亡率は15.4%でした。10
人中1、2人は生まれて1年も生きられなかったのです。 「健やかに生きてほしい」、「少しでも邪悪なものから護りたい」。現代の私たち以上に、そういう想いを強く抱きやすい
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