これはマッコウクジラの歯に線を彫ってイカ墨などで黒い線にしたスクリムショウと言われる物で、『鯨捕りの芸術』とも言われています。
スクリムショウは捕鯨船の船員が長く困難な船上の生活の中で、愛する人や親しい人たちへのお土産として作られた物で、アメリカの数少ない古民芸の一つで文化遺産でもあるのです。
スクリムショウは歴史的な背景を知るほど大変興味深いアンティークなので、『スクリムショー ― 鯨捕りの芸術』でご覧ください。

僕はこのスクリムショウには懐かしい思い出があります。
だって38年前の僕の最初の海外買い付けの時に買った宝物なのですから・・・・・。

僕の最初の海外買い付けの場所はロンドンのバーモンジーです。ここはテームズ河を渡った治安の悪い所で、毎週金曜日に朝の暗い内から大きな広場に数百の露天の店が並び、貴重なアンティークからガラクタまで膨大な数のアンティークが売られている様子に圧倒されたものでした！！

電灯が灯らない暗い内から行って、懐中電灯で照らしながら、お目当ての業者がゴソゴソと新聞紙で包んだ物の中から掘り出し物を探すのが醍醐味でしたね。

あの頃はこういう希少価値のある宝物をバーモンジーのようなアンティークマーケットで買えたものですが、今ではここは消滅寸前で、ほとんどが新物でアンティークと言うだけの価値のある物などは全く姿を消してしまっているのです！
まあ、残念ながらそれだけ品物が無くなってしまったということなんですよ・・・。

でもご安心ください。ルネサンスは永遠です！！トレジャーハンターGenがいるのですから・・・。

僕の跡を継ぐ長男の純に、今、僕が心血を注いでアンティークジュエリーのことを教えていますしね。