「アテナ」
アゲート
イタリア　18世紀
4.4×3.2cm

石の質感が素晴らしく、本や美術館でも見たこともないような珍しい石だと言っていましたが、実物が届いて僕も完全納得！♪

裏を見ればよくもこのような石をカメオに使ったものだと驚くばかりです。最下部のカメオの側面を見ると、色の違ういや、全く別の石だと思えるほどの質感の全く違う二層で、しかも波打っているような曲線でフラットではありません。これは通常のカメオでは考えられない事なのです！
まるでシェルカメオのようにベースの部分が波打っているのですから、彫るのが如何に困難な事かが分かると言うものです。
シェルなら柔らかいから容易に彫れるでしょうが、固いアゲートでしかも、裏にヒビが一面に入っているように見える特殊な石ですからね〜。作者は類い希なる技術と独創性のある作品を作ろうという情熱に満ちた人物に違いないのです！！
だからこそ危険で困難な仕事をやり遂げられたのです。

知恵の女神アテナのヘルメットには海馬が彫られ、左方には顔が彫られていますが、これらの部分は半透明の部分に彫られています。もちろんアテナの顔は端正な美しい顔に彫られています。

まだカメオがブームになる前の優れたカメオは、石の質感がブームの後の物とはまるで違い、優れたカメオほどモチーフを引き立たせる変化に富んだ希少価値のある魅力ある石を使っているものですが、このカメオほどの魅力ある石は滅多にあるものではないのです！

二箇所のヒビがありますが、それさえも焼き物でいう景色に思えて全く気になりません。古い年代のカメオならではの奮起と言って言い過ぎではないと思います。

この作品は、もはやカメオと言うよりは、希少性のある石の小さな彫刻、つまりジュエリーの範疇を超えた芸術作品と言えるレベルなのです！♪