【舞踏会のヴィネグレット】
それはルネサンス期のジュエリーを思わせる美しいエナメル

フランス 1840年頃
シャンルヴェ・エナメル
ルビー、エメラルド、天然真珠、18K
2.5cm×3cm×3cm
チェーンの長さ 約18,5cm
Sold

ヴィネグレットは気付け薬入れとして作られた物で、19世紀初期の美術的価値のある高級な物は、主に男性の愛の小道具として作られた物です。

意中の人の目を引く為に女性が卒倒する仕草をして、側にいた男性がここぞとばかり、ヴィネグレット(気付け薬入れ)を使って快方する訳ですが、日常生活の中でも美を意識していた貴族のような上層階級の男性が恋の晴れ舞台で使うヴィネグレットは,それは凝った作りの美術品のような物だったのです。
19世紀初期の物は、 男性が持っている物だったので美しい物ではあっても、やはり女性の好みとは少し違い、男性志向が感じられる物も多く、このヴィネグレットのようなエレガントで華やかな美しさの物とは違います。

このヴィネグレットは1840年頃の物ですが、この頃になると19世紀初期の物とは違い。女性が舞踏会で使うために作られるようになるのです。

舞踏会で使うヴィネグレットは、本体にチェーンが付いてその先に指輪が付いています。
ダンスを踊る時にその指輪を填めて、ヴィネグレットを下げて優雅に踊ったのです。

ヴィネグレット本体の構造は同じでも使い方が違ってきたのかも知れません。
女性が中に香水を入れて、香りを楽しむ為の香水瓶として使うようになっていたのかなとも思います。

当時の貴族などの上層階級の貴婦人にとって舞踏会は、最も楽しく重要な行事でその為に人生があるようなものだったのです。

舞踏会の為にドレスを作り、ジュエリー、扇、そしてこのヴィネグレットや舞踏会の手帳などの優雅さと、美意識を競ったのです。

舞踏会は夜に開催されるので、ジュエリーはダイヤモンドが主体の物でしたから、デザインもオーソドックスな物が多く、それほど美意識の差が出なかったような気がするのです。

そこで美意識やセンスの良さが発揮されるのが、扇や舞踏会の手帳、そしてヴィネグレットなどの小物だった筈なのです!

今も昔もダイヤモンドはお金を出せばセンスの良い悪いなどは関係無く身に付けられますが、扇やヴィネグレットなどの小物はセンスが良くないと良い物は選べないし、ましては好みの物を作らせることは出来ないからです!!

ヴィネグレットは小さな物ですが立体的な作りなので、いろいろな形の物が作れるし、多彩なエナメルと彫金で、ダイヤモンドのネックレスとは比較にならないほど、自分の美意識や個性を表現出来る優雅な小物を作らせることが出来たのです!

それに同じ小物でも扇はダンスを踊る時には使えませんが、このような指輪付きのヴィネグレットは、指に下げて踊れますから、踊っている時に注目を集められる小物だったと思うのです。

想像して見てください。ダンスを踊る女性の右手は、黒のモーニングを来たパートナーの背中に当てている訳で、このヴィネグレットのような美しい色彩の物が、黒い燕尾服の背中で優雅に揺れている様を・・・、そしてその背中越しにヴィネグレットの持ち主の顔が見えるのです。

僕はヴィネグレットこそ、舞踏会で美意識を競うのに相応しい物だったと思えて来るのです!

それが証拠に、このヴィネグレットには素晴らしい彫金の指輪が付いています!

指輪だけを単独で使えるような美しく素晴らしい仕事で作られています!

そしてそこから下がるチェーンは、見たことのない珍しい作りで、とてもしなやかに動くのです!
いったいどうやって作ったんだろうと不思議でしょうがありません!

余程の腕の職人がもの凄い時間を掛けて作ったのに違いないのです!!

そして蓋を開けると、ヴィネグレットならではの美しい彫金を施した透かしの内蓋が現れるのです!

蓋を開けて香水の香りを楽しむ時には、目を楽しませてくれる美しい透かしの蓋が必要だったのです。

次に拡大画像を見て頂きながらこのヴィネグレットの最大の魅力と特徴であるエナメルのお話を致しましょう。



このエナメルは、シャンルヴェという技法で、金属を彫ってエナメルを施しています。

このような立体的な形の物の全面に、これだけ複雑な模様を彫り、これだけ多彩な色彩のエナメルを施すことは、如何に高度な技術と手間を掛けたかということを理解しなければなりません!

表面にエナメルを塗っている訳ではなく、すべて彫ってエナメルを入れているということをしっかり頭に入れてください。
それが理解出来ればこのエナメルが如何に手間の掛かることなのかが解る筈です!

しかもこれだけの多色のエナメルを使うということは、色によって炉で加える熱の温度が違う訳ですから、もの凄い回数を炉に入れて焼いているのです!!

それにこのシャンルベ・エナメルは普通の物とは違い、表面がフラットではなく盛り上がっているのです!
これはフラットなエナメルよりも数段難しい技術です!
だからほとんどの場合は表面がフラットなのです。
このシャンルベ・エナメルは普通の物とは違い、表面がフラットではなく盛り上がっているのです!
これはフラットなエナメルよりも数段難しい技術です!
だからほとんどの場合は表面がフラットなのです。

蓋の部分は単純な形ではなく、三つの段差がある立体感のある形なので、地金の金の部分に光が反射して、その輝きが実に美しいのですが、特に手に持って動かした時にその輝きが動いてファンタジックな輝きを感じるのです。

大きな拡大画像を見ているとこのエナメルの繊細な美しさは理解出来ないかも知れません。
でも実物大の小さな画像では細かな模様がつぶれてしまい、これも全く美しいとは感じられないと思います。

実物では、エナメルを施していない僅かな隙間の金の輝きと、エナメルの色彩のコラボレーションが、
夢のように美しいのです!!♪

このシャンルベエナメルのもう一つの特徴は、花の部分に花びらの絵がグラデーションをかけて描かれていることです。

それにボトムの部分まで隙間無くエナメルと繊細な彫金を施しているにも驚きを感じます!

こういう半球状の部分にこれだけのエナメルと細かな模様を彫るのが如何に大変なことかを想像してみてください。

これも拡大画像で見ているとその仕事の難しさは解らないと思います。
実物が小さな物であることを理解出来ていないと分からないことなのです。
このヴィネグレットは、365度どの角度から見ても美しいエナメルと繊細至極な彫金の輝きが楽しめます!
過去に扱ったヴィネグレットでも、これほどどこから見ても美しい物は無かったです!

手間のかけ方が桁違いと言う訳です!



蓋が三つの段差のある形なのが解ります。

下部の部分も優美な曲線になっています。

濃いブルーの部分には地模様が彫られているギロッシュエナメルです。巾がたった1mmしかない細い部分に複数の線が彫られているのを見逃さないでくださいね!
これも人間業とは思えない程の至難の技なのですから・・。

こういう超細密な仕事は携帯の小さな画像では絶対に解りませんので、ぜひPCの大きな画像で見て頂きたいです。



すべての面が曲線で構成されているので、金の輝きと繊細なエナメルの色彩が入り交じり、より一層美しいと感じるのです。

このヴィネグレットは舞踏会でダンスを踊る時に指に下げて使った物だけに、くるくる廻るような動きのダンスでも、どんな角度から見ても美しく見えるように考えて作られているのです!

この美しいヴィネグレットを指にさげて踊っている貴婦人の姿が目に浮かぶではありませんか・・・。

優雅な時代の優雅な人たちの物、それがこのヴィネグレットなのです!♪

こういう物こそ、普通のジュエリーよりも、当時の貴族階級の生活が偲ばれます。
想像する楽しみがあるのは、こういう贅沢で美しい小物なのです。
内蓋の透かしと彫金も当時の第一級の仕事を感じさせる物です!

香りを楽しむ為に、蓋を開けた時の喜びを感じる為の細工なのです。

このヴィネグレットはもちろん金無垢ですから、内部もすべて金です。


金はエナメルの発色が一番良いのです。


次ページで素晴らしいチェーンと指輪に付いてお話致します。


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